電気用品安全法に従って家電等の電気製品を製造・輸入する場合、経済産業局等へ必要事項を記載した事業の届出を行う必要があります。
ここでは事業の届出について解説いたします。
下の図は経済産業省のHPから引用したPSEの届出・手続きの流れです。
図の前半にある事業届出は、一般的にPSE認証と言われる基準適合確認や適合性検査より前の、事業行為を始めようとした時点で行うべき新規事業届出です。電安法の規定によれば、電気用品の製造事業、輸入事業を行う場合、事業開始の日から30日以内に必要事項を管轄の経済産業局等に届け出なければならないとされています。
正しく事業届を提出せずに家電等の電気製品を販売・流通させると電安法違反となるため注意が必要です。
届出は電気用品の区分ごとに必要なので、過去に事業届出を行っていても新しい電気用品の区分に該当する製品を製造・輸入する場合は新規で事業届出を行う必要があります。
また事業届出には新規事業届出以外にも「変更届出」、「承継届出」、「廃止届出」も規定されています。なお単に「事業届出」という場合は通常新規事業届出のことを指します。
事業届出には電安法の義務に対して誰が責任を負うかを特定する意味があります。外国工場で製造する電気機器については、輸入事業者が電気用品安全法における義務を負うことになります。これは輸入した家電等の電気機器がPSE基準外だったり事故を起こした場合、外国工場の責任ではなく輸入者の責任となるという事です。
なお輸入事業届出者は、日本国内に居住する個人又は日本国内で会社法に基づく登記を行っている法人に限られます。日本国内に営業所を持たない外国(日本国外)に籍を置く事業者は、会社法に基づき日本における代表者を選任して登記を行っている場合に限り、輸入事業の届出を行うことができます。
事業届出には以下の内容を記載します。
・住所
・氏名(法人の場合は名称及び代表者の氏名)
・事業開始の年月日
・製造(輸入)する電気用品の区分
・当該電気用品の型式の区分
・製造(輸入)する電気用品の型式の区分
・当該電気用品を製造する工場又は事業場の名称及び所在地(輸入の事業を行う者にあっては、当該電気用品の製造事業者の氏名又は名称及び住所並びに当該電気用品を製造する工場又は事業場の名称及び所在地)
・専ら輸出するための当該電気用品の製造(輸入)の事業を行おうとする者にあってはその旨
・担当者名、担当者連絡先
上記項目において知見がないと苦慮するのが「電気用品の型式の区分」情報の作成です。
詳細は後述しますが、他の届出事項はシンプルなものの電気用品の型式の区分情報の作成が困難で進め方が分からず、当事務所の事業届出代行サービスをご依頼いただくケースが多いです。(行政書士業務として代行しています。)
届出時期
事業の届出は事業開始日以降30日以内に届け出る必要があります。
事業開始日とは、遅くとも当該届出に係る電気用品を製造し始めた日又は、輸入した日(通関日)をいいますが、事業のための準備行為や、事業開始に係る社内等における意思決定日も含みます。
準備行為や意思決定日というと、「この電気製品を輸入販売しよう」と社内決定した日など、まだ実際の行動に出る以前の時期まで含まれることになります。
ただ、実際に製品の仕様が固まったり電気用品の区分や品名を調査決定するのはもっと後のことになるのが一般的なので、当事務所ではPSE認証試験が完了した頃に事業届を提出する場合が多いです。PSE試験で技術基準を満たせなかった場合に撤退する可能性もあるからです。
いずれにせよ最悪なのは届出をせずに家電等の電気機器を販売開始し、30日を経過してしまう事です。こうなると言い逃れできず違反の対象となるため十分にお気を付けください。
届出事項の記載
既にご説明した通り、届出に必要な内容を記載していきます。経済産業省のホームページに事業届出フォーマットがあるのでダウンロードして利用可能です。
届出書は電気用品の区分ごとに作成・提出する必要があり、異なる電気用品の区分の製品について届出をする場合は個別に届出が必要なので注意が必要です。
なお同じ電気用品の区分で電気用品名が異なる製品を同時に届け出る場合は、一枚の届出に並列列挙して記載できます。
また同じ製品(電気用品名)であって複数の仕様(消費電力が異なる等)の製品を同時に届け出る場合は、仕様が異なるため型式の区分情報も異なることになりますが、異なる型式の区分の情報をまとめてひとつの区分情報として作成することもできます。
ちなみに既に届出済みの電気用品の区分と同じ区分の電気用品を新たに届け出る場合、新規の事業届出ではなく「変更届」にて届出事項の追加という形で提出します。異なる工場の異なる製品であっても、既存の届出と電気用品の区分が同じ製品の場合は「変更届」による届出となるためご注意ください。
※型式の区分の作成・記載について
ここでひとつの関門となるのが「電気用品の型式の区分」情報の作成です。
PSE検査を行う検査機関によっては、検査レポートと同時に型式の区分情報を作成してくれることもあり、その場合は作成の手間が省けるのですが、そうでない場合は型式の区分情報を自分自身で作成しなければなりません。
また、同じ電気製品であっても複数の仕様(消費電力が異なる等)の場合型式の区分情報が複数に渡るため、ひとつの書類にまとめようとすると自分自身で情報を整理して作成しなおす必要があります。
以下、参考に電気ケトルを輸入する場合の型式の区分情報がどのようなものかご紹介します。
電気ケトルの電気用品の区分は電熱器具、電気用品名は電気湯沸かし器です。
上記のような表を用いて、製品の仕様情報から該当する箇所に丸印をつける形で作成します。
ここでは一定の電気的知識も必要となりますので、分からない部分は工場に協力を仰ぐなどして正確に作成する必要があります。
提出方法
原則、最寄りの経済産業局(経済産業局長宛て)に提出します。例えば当事務所が電気機器を輸入販売する場合、当事務所の所在地は東京都なので、関東経済産業局への提出となります。
提出方法は紙による持参か郵送の他、インターネット経由(保安ネット)でも提出でき、届出費用は無料です。
なお紙による届出の場合、届出書を2部用意することで1枚を受領控えとして受け取れますので、届け出た情報の管理のためにも控えを入手して保管する事をおすすめします。
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※参考・出典:経済産業省ホームページ
経済産業省への輸入事業届出は電気用品輸入者の法的義務です。
しかしながら届出書類作成や製品の仕様に基づく型式の区分表の作成は、電気用品安全法を正確に理解していないと難易度が高い作業です。
弊所では型式の区分表を含め、届出書類の作成と届出作業まで一貫して代行いたします。
弊所にご依頼いただいた際には、基本的に以下の流れで業務を進めてまいります。
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①製品詳細についてお客様へヒアリング
製品がどのような機能や構造なのか、仕様書等のご提供もいただきながら詳細にご説明いただき、把握していきます。
②PSE検査レポート、証明書の確認
御社で入手済みの検査レポートや証明書をご共有いただき、必要情報を確認いたします。
③電気用品の区分(電気用品名)の判定
把握した製品情報をもとに、具体的な電気用品の区分はどれにあたるかを調査し、判定します。
④必要に応じて仕様の追加確認
書類作成にあたり仕様情報が不足する場合、工場への確認事項をまとめて御社にご質問いたします。
工場からの回答を待って、書類作成に進みます。
⑤書類作成と届出
揃った情報をもとに届出書と型式の区分表の作成を行います。
書類が完成次第、郵送にてお客様の所在地を管轄する経済産業局へ届出を行います。
⑥届出書控えの納品
経済産業局から届出受領印が押印された届出書控えが弊所に到着次第、お客様にスキャンPDFをお送りするとともに原本を郵送にて納品いたします。
♦️ワンポイント
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そもそもPSE認証が必要かどうかや、電安法の規制がどのように製品に関係してくるのかがよく分からないので総合的に支援してほしい、という状態の場合は、弊所とのコンサルティング顧問契約をご検討ください。
または製品規制基本調査や単発コンサルティングサービスをご利用いただき、法規制や認証について網羅的にご理解の上、個別実務としてPSE認証手続き代行のご依頼をいただく事をおすすめします。
🚩電気用品の輸入事業届出にお困りでしたら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
当事務所ではPSE試験を含め法規制クリアのためのコンサルティングと実務サポートを行っております。
ここまでご説明した通り、完全に理解するには多くの時間と労力を要する上、間違った形で行うと法令違反として罰則が適用される事もあります。
そのため、御社が手探りで時間をかけて詳細の把握に務めるよりも、ハードルの高い法規制のクリアは当事務所のような専門知識・ノウハウのある協力者をうまく使い、事業活動に時間を有効に配分していくことをぜひご検討ください。