家電等の電気機器の製造や輸入販売をご検討の会社様で、電気用品安全法やPSE認証に初めて触れる方はその難解さや進め方にお困りではないでしょうか。
このページでは、電気用品安全法、PSE認証についてポイントをかみ砕いて解説いたします。細部については経済産業省のHP等でご確認いただくとして、ここでは理解しやすい言葉で実務上のコツを添えてご説明したいと思います。
検査費用は別途かかりますが(後述)、複雑な試験基準・区分確認や手続きを手放せるメリットは大きく、また国内外含めた最適な検査機関の選定など弊所のノウハウを生かすことで、結果的にコストの削減にもつながります。
ぜひ一度お問い合わせください。
説明の前に、PSE検査の料金やコストがどの程度かかるか、費用感を記載しておきます。
ここでは比較的ご依頼が多い丸型PSEに絞って記載いたします。費用は試験機関に支払う検査費用です。
✅日本国内の試験機関で丸型PSE検査を実施した場合
50万円から製品によっては200万円以上
✅中国の試験機関で丸型PSE検査を実施した場合
上記の3分の1から5分の1程度、場合によってはそれ以下
詳細は後述しますが、方法によって大きく差が出てきます。費用の削減は経験やノウハウが必要になるポイントの一つですので、当事務所へのご相談もご検討ください。
電気用品安全法(略:電安法)とは、「電気用品の製造、輸入、販売等を規制するとともに、電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進することにより、電気用品による危険及び障害の発生を防止する。」目的のもとに定められた、電気製品の製造・輸入事業者の義務等が規定された法律です。
PSEとは、電気製品を製造・輸入する際に電安法に規定されている義務や届出を満たした事業者が製品に表示できるマークのことです。このPSEマークの表示がないと、日本国内では「電気用品を販売し、又は販売の目的で陳列してはならない」とされています。
家電等の電気機器の製造・輸入販売を検討する場合、電安法とPSEは避けて通れない関門となります。
PSEには特定電気用品(ひし形PSE)と特定電気用品以外の電気用品(丸型PSE)の2つがあり、それぞれ電気用品の区分・電気用品名(品目)が定められています。以下のように分かれており、販売するためには製品に表示を行わなければなりません。
特定電気用品
実際は上記PSEマークに加えて、登録検査機関のマーク、製造事業者等の名称(略称、登録商標を含む)、定格電圧、定格消費電力等が表示される。
・電気温水器
・電熱式・電動式おもちゃ
・電気ポンプ
・電気マッサージ器
・自動販売機
・直流電源装置
など全116品目
特定電気用品以外の電気用品
実際は上記PSEマークに加えて、製造事業者等の名称(略称、登録商標を含む)、定格電圧、定格消費電力等が表示される。
・電気こたつ
・電気がま
・電気冷蔵庫
・電気歯ブラシ
・電気かみそり
・白熱電灯器具
・電気スタンド
・テレビジョン受信機
・音響機器
・リチウムイオン蓄電池
など全341品目
比較的構造が複雑で事故等の危険度が高い電気製品が特定電気用品に指定されており、それよりも少し緩い基準で規制されているのが特定電気用品以外の電気用品というイメージです。
例外はありますが、たいていの場合製品とコードが直接繋がっていてコンセントに差して使用するものは特定電気用品以外の電気用品に該当する事が多いです。
いずれの場合もその電気機器が電気用品安全法で規定された技術基準に沿っているかを確認する義務(基準適合確認義務)がありますが、特定電気用品の場合はさらに「適合性検査」という登録検査機関による検査を受け、かつ適合性証明書の交付を受けるという難易度の高い認証試験が必要となります。
検討している製品のPSE対象は丸型かひし形か、電気用品のどの区分にあたり品目はどれかを調査・判別し、またどの技術基準にて試験を行う必要があるかを見極めなければなりません。
家電等の電気機器を製造・輸入しようとする場合、いわゆるPSE試験と呼ばれる技術試験と合わせて経済産業省への届出等を行う必要があります。下の図は経済産業省のHPより引用した届出・手続きの流れです。
一般的にPSE試験と呼ばれているのは、特定電気用品の場合は「適合性検査」、特定電気用品以外の電気用品の場合は「基準適合確認」の部分になります。
基準適合確認は特定電気用品の場合も特定電気用品以外の場合も義務として行う必要があるものですが、特定電気用品以外(丸型PSE)は基準適合確認義務を果たすことでPSEマークが表示できるものの、特定電気用品(ひし形PSE)の場合は登録検査機関による「適合性検査」を受けて証明書の交付を受ける事で初めてPSEマークが表示できるため、基準適合確認だけでは不足となります。
基準適合確認はPSEの技術基準で検査が可能な設備や知識等があれば自社または工場等で行う事も可能ですが、大手メーカーでない限りハードルが高く現実的ではないため、第三者検査機関に試験を委託する形で実施されるのが一般的です。そのため「丸型PSEの試験を行う」という場合、ほとんどが基準適合確認のために試験機関へ試験を依頼するという意味合いになります。
既に記載した通り、いわゆるPSE試験とは、特定電気用品(ひし形PSE)にとっての適合性検査と特定電気用品以外の電気用品(丸型PSE)の2種類があります。ここでは比較的ご依頼が多い特定電気用品以外の電気用品(丸型PSE)に絞ってご説明いたします。
丸型PSE試験を行う進め方と手順は、まず電気用品の区分を調査して製品がどの電気用品名(品目)に該当するかを確定し、次にPSE検査を実施可能な第三者試験機関に試験を依頼します。そして技術基準に適合しているという試験結果が出れば、晴れてPSEマークの表示を行う事ができます。
試験を依頼する手順だけで考えるとシンプルですが、実際の問題は下記の通り色々あります。
♦️電気用品の区分や品目を間違えてはダメ
後述にて少し詳しく書きますが、特定電気用品以外の電気用品名(品目)は341品目にもなるため明確に判別する事が簡単ではありません。間違った区分や品目の技術基準で試験をしてPSE表示をした場合電安法違反となるため、必要に応じて経済産業局に問い合わせながら正しく選択するようにしましょう。
♦️製造メーカー(工場)の協力が必須
最も重要な事ですが、輸入の場合、海外工場が日本の技術基準に沿って仕様変更やサンプル製造に積極的に協力してくれることがPSE試験を行う上での必須事項です。
いかに海外工場が魅力的な電気製品を持っていても、それを日本で輸入販売するためには日本のPSE技術基準に合致していなければなりません。当然日本の技術基準は海外とは異なるため、工場が日本仕様への変更と柔軟なサンプル作成に応じない場合、そもそもPSE検査を受ける事すらできない場合があります。
またPSE検査を実施しても技術基準を満たせない結果が出た場合、製品の該当部分を修正して再試験を行う必要があるため、とにかく工場の協力体制がPSE認証試験クリアへの最重要事項になります。
製品の輸入を検討する場合、まず最初に工場へPSEのことを伝え、試験クリアに向けて全面的に協力してくれるかどうかを確認しておくことをおすすめします。
♦️PSE検査の費用は高額
PSE検査の検査費用は高額です。
製品によっても大きく異なりますが、日本国内の有名検査機関でイチから試験を行う場合、50万円から製品によっては200万円以上の費用を検査機関に支払わなければなりません。検査機関は多数あるため、少しでも金額の安い検査機関を見つけるために多数相見積もり等を行いながら検討するべきだと思います。
しかしながら日本でPSE試験を行おうとすると高額である事には変わりありません。
では大きく費用を削減する方法はないのか…?というと、そうでもありません。大きく費用を削減する方法をご紹介します。
▼海外の検査機関で試験を実施する
当事務所では中国でのPSE試験をおすすめしております。
中国国内にもPSE技術基準に基づく試験が可能な試験機関が多数あり、こちらも試験機関によって費用は異なるものの、安い試験機関であれば日本国内での試験と比べて3分の1~5分の1程度、場合によってはそれ以下の金額にまで抑えられる場合もあります。
検査費用を抑えたい場合は、ぜひ中国での試験を検討してみてください。
ただし海外検査機関の場合、検査機関がPSE試験に対応していると謳っていても日本の検査機関と比べてPSEへの理解度が低い場合があります。具体的には適用する技術基準の品目を間違えていたり、技術基準が過去のバージョンだったりする場合があります。
試験の依頼時には必ず技術基準に間違いがないか確認・指定する事が重要です。それさえ間違えなければ費用・時間共に優位にPSE検査が可能です。
▼工場が持つテストレポートを活用する
日本以外の各国でもPSEの様な技術認証が存在します。例えばヨーロッパではCE、アメリカではULという名の認証制度です。
輸入を検討している製品を工場がすでに海外向けに輸出している場合、当該国で有効な認証試験をすでに工場が行っているはずで、その際国際規格をもとにCBレポートという試験レポートを取得している場合も多く、それを流用することでPSE試験項目を減らし、費用を抑えられる場合があります。
ただ適用するには知識と経験が必要な内容ですので、ここまで踏み込んで検討する場合は当事務所にご依頼いただくことをおすすめします。
▼PSE認証取得済みのパーツを使う
試験内容をよく検討する必要がありますが、日本仕様の製品にPSE認証取得済みの部品を適用することで、当該部品に関わるPSE試験項目を省くという考え方もあります。
以上のように、単にPSE試験をすると言っても複合的な要素をしっかり検討しながら進める事が必要であり大切です。PSEに知見がない状態では工場とどのように話していけばよいか分からなかったり、検査機関からの高額な見積りに驚かれることも多いと思います。
PSE試験を上手にクリアするには、一定の知識と経験、そしてノウハウがとても重要です。
当事務所にご依頼頂く場合、当事務所の手数料を加味しても結果的に大きく費用削減できる場合がほとんどですので、お悩みであればぜひまずはお問い合わせください。
以下、特に理解が難しい手続きについて解説します。
♦️電気用品の区分・電気用品名の確認
まずは製造・輸入しようとする製品が電気用品安全法で規定されたどの区分・電気用品名(品目)に該当するのかを調査する必要があります。特定電気用品か特定電気用品以外の電気用品か、さらにどの区分に該当し品目は何なのか、を判別します。
以下の経済産業省のHPより電気用品の区分・品目が確認できるので参考にしてみてください。
名称からある程度は見当がつくと思いますが、間違った区分や品目を選択して試験を行うと電安法違反となるため注意が必要です。
なお、当事務所ではご検討製品に対するPSE試験の要否や電気用品の区分・品目、その他法規制等の有無を調査する製品規制基本調査サービスも実施しております。電気用品にとって大前提となる情報ですので、ご不安な場合はぜひご利用ください。
♦️自主検査
電気用品の製造又は輸入を行うにあたっては、国が定めた検査の方式により検査を行い、検査記録を作成し、これを検査の日から3年間保存する必要があります。簡単に言うと、製造した製品に対する全数検査を行い、その記録を保存する義務があるという事です。
いわゆるPSE試験と言われる基準適合確認や適合性検査と混同されている会社様が多々おりますが、この自主検査はPSE試験とは別に、製造製品全てに行わなければならない検査であり、その検査内容も電気用品ごとに規定されています。
試験内容や記録方式等に迷われる場面があるかと思いますので、当事務所では自主検査項目を検査シート形式で作成するサービスを実施しております。
♦️事業届出
新たに事業を開始する場合は 開始から30日以内に経済産業局等に「事業届出」を行う必要があります。他に「変更届出」、「承継届出」、「廃止届出」も規定されています。
新規の事業届出は電気用品の区分ごとに行う必要があり、その際「型式の区分」という製造・輸入する製品の詳細な区分情報書類を作成しなければなりません。製品の仕様情報等から作成するのですが、その際に一定の電気的知識を要します。
当事務所では行政書士業務として、型式の区分書類を含む事業届書の作成と届出を代行しております。
以上、PSE認証や電気用品安全法の全体像はご理解いただけましたでしょうか。
当事務所では電安法を含む食品衛生法や電波法、品質表示法等の電気機器の輸入販売の壁となる包括的な法規制クリアのためのコンサルティングと、各種実務の代行を行っております。
コンサルティング業務にて製品の検討から輸入に至るまでの、各ハードルや法規制の対策や解決プランを御社のチームの一員となって立案し、またPSE試験手続き等も別途実務者としてお引き受けします。
複雑な電気製品の輸入にお困りでしたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。